この作品は、冬、北海道、羅臼で想を得た。画面ほゞ中央の鳥は「大鷲」です。厳冬シベリヤ、アムール河畔より北海道、道東に南下してくる流氷(海面下は豊富なプランクトン、それを追って助惣鱈の大群、又更にそれを追って大鷲、尾白鷲が南下してくる)、この季節になると大自然の鷲を寒いが取材できる。今回画面上部に漁船を描いた関係から、それを受ける形で、大鷲にした。冬が去り、春の訪れが近くなると、流氷も少しづつとけはじめ、海面があちこちに顔をだす頃には、まちきれずに漁船が二、三出航、この見定めをあやまると流氷にとざされ、えらい事になる。大自然は、侮れないものである。
日本美術院の許可を得て掲載しています。